「食べる」という大切なこと
神戸YWCA保育園の食育目標は、「食べることが好きになる」です。
子どもたちの「知りたい」に応えるため、調理室の全面ガラス張りのドアからは食事づくりが手に取るように見えます。
ガラス戸にへばりついて真剣にのぞいているのは、なぜか1歳児。
食べることや大人がしていることに興味が出てくる時期のようです。
調理スタッフが振り向いて、切った野菜や小さな鍋の中を見せてくれるので、楽しみにしながら食事を待つことができます。
キャベツをちぎったり、トウモロコシの皮をむいたり、お手伝いすることも楽しんでいます。
子どもたちが毎日食べるものは、二宮地域の商店や中央市場から届きます。
子どもたちは食材が届くたびに、「なにかな?」と見にいきます。
調理は届いた素材を生かし、子どもたちに向けた味にするために薄味を心がけます。
その基本となる出汁は鰹節と昆布でしっかりとります。
どこにいても出汁のにおいが漂ってくるので、それでまた、食事が楽しみになります。
0〜1歳児の子どもたちは、指先を器用に使いながら手づかみで食事をします。
テーブルや床にこぼしても、手づかみを遮りません。
「汚れた感覚をおぼえることも大切。思う存分やらせてあげて」
という歯科医の言葉通りに、すぐに口や手を拭くのではなく、食べる意欲を優先しているところです。
1〜2歳児は、神様からいただいた大切な命としてプランターで野菜を育て、「いただきます」の感謝の気持ちにつなげます。
さやえんどう、ブロッコリー、ミニトマト、もうすぐキュウリも収穫できそうです。
「あーちゃんがうえた豆」「つっくんが水やりしたトマト」は特別なものとなって大きく育っています。
その体験を通して2歳児の中には、自分から食前に祈る子どもが出てきました。
感謝の食前の祈りに始まり「ごちそうさま」の満足感で終わる給食は、子どもたちにとって「食べることは生きること」そのものなのだと感じています。
今日も保育室に「おいしいね~」の声が響いています。
(神戸YWCA機関紙 2021年8・9月号掲載)