「ALPS 処理水」の海洋放出に反対し、民主的で誠実な対応を求めます
日本YWCAは、政府が2021年4月13日の東京電力福島第一原子力発電所からの「ALPS処理水」の海洋放出の方針発表以来、その方法に反対し誠実な対応を求めてきました。
原発事故後12年間放置し、廃炉の見通しも立たないなかでの、市民の合意なきALPS処理水の海洋放出の強行にあらためて強く反対します。(以下全文)
内閣総理大臣 岸田文雄 様
経済産業大臣 西村康稔 様
環境大臣 西村明宏 様
「ALPS処理水」の海洋放出に反対し、民主的で誠実な対応を求めます
日本YWCAは、政府が2021年4月13日の東京電力福島第一原子力発電所からのALPS処理水の海洋放出の方針発表以来、その方法に反対し誠実な対応を求めてきました。原発事故後12年間放置し、廃炉の見通しも立たないなかでの、市民の合意なきALPS処理水の海洋放出の強行にあらためて強く反対します。
ALPS処理水問題に限らず、事故後被害をもたらした側が責任を負わないまま、事故の悪影響を受け入れるという社会的合意が被害者や国民全体に押しつけられてきた構造は、その範囲が近隣諸国の人々にも広がっており、終わりのない原子力災害の深刻さをあらためて痛感します。海外の国や地域の市民社会からも懸念・反対が表明されているにもかかわらず、海洋放出を強行することは看過できません。
専門家によれば、大型タンクの設置やモルタル固化による処分も含めて検討をすることで、ALPS処理水の陸上での長期保管は可能です。それにもかかわらず人体への有害性が懸念されているトリチウムを含んだALPS処理水を海洋に放出することは、あまりにも安易で、市民の健康を省みない、非人道的な行為であることは明白です。自然に浄化作用がないものを環境に捨てることは言語道断です。
2015年には、当時の経済産業相が「(処理水について)関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」と漁業者と約束しています。漁業者は現在も海洋放出に反対しています。約束は守られないのでしょうか。8月20日の岸田総理会見では「これまでの説明を通じ、国際的にも科学的な知見にもとづく冷静な対応が広がっている」との認識を示されていますが、現地の関係者の反対を無視した状態で、必要な理解が得られているとは到底言えません。一方的な説明ではなく、対話が必要です。
日本YWCAは「核」否定の思想に立ち、人権と環境を守ることを目的とした国際NGOとして、女性の健康・生活、そして「いのち」を守るために尽力していますALPS処理水の海洋放出は、女性を含むすべての人の健康を脅かす恐れがあることはもちろんのこと、特に地域の人々の生活に影響を与えます。日本YWCAは、海洋放出に強く反対し、廃炉を含めた政策の抜本的な見直しを強く求めます。
日本YWCA
会長 藤谷佐斗子
総幹事 山本知恵
声明文「『ALPS 処理水』の海洋放出に反対し、民主的で誠実な対応を求めます」(2023年8月22日)
日韓YWCA共同声明文「私たちは東京電力福島第一原発事故による汚染水海洋放出に反対します」(2023年7月10日)