「集団的自衛権」行使容認の閣議決定に抗議する声明文を送りました
神戸YWCAは「集団的自衛権」行使容認の閣議決定に抗議する以下の声明文を6月21日付で内閣総理大臣と、公明党党首に送りました。
「集団的自衛権」行使容認の閣議決定に強く反対し抗議します
私たちYWCAは、多くの人々を犠牲にした悲惨な先の戦争に十分反対の意を唱えられなかった反省から、戦後の活動をスタートしました。「平和憲法」に誇りを持ち、日本が二度と戦争への道を歩まないことを願って、特に東北アジアの人々と草の根の平和的交流を進めてまいりました。
そうした中、集団的自衛権行使容認の閣議決定という暴挙は、決して許されるものではありません。
まず、立憲主義の否定だと言わざるを得ません。そもそも憲法とは、私たち国民の基本的人権・自由を守るものであ り、権力者が横暴をしないように、権力者側を縛る鎖です。もし、現行の憲法の枠組みで安全保障政策を取り得ないというのであれば、まず主権者である国民に憲法改正の是非を問うべきであり、憲法改正が行われた後に、憲法に則って政策を行うべきです。
各報道機関による世論調査では、概して「集団的自衛権行使容認」には反対意見が多く、現政権支持者も経済政策を重要視しているのであり、安全保障政策に賛同しているわけではありません。パブリックコメントや公聴会などで国民の意見を十分に聞かれたのでしょうか。
集団的自衛権の本質は、自衛ではなく「他衛」です。たとえ「限定的」であれ戦闘に参加すれば、自衛官が死傷したり、他国の人々を殺傷したりするリスクを負います。現在の状況では、このことに関する国民に対する説明は全く不十分です。
「日本の安全に重大な影響を与える場合」とは何か、「必要最小限度」という限定は可能なのか、またもし日本が戦闘に参加した場合、それが日本にどのような帰結をもたらすのか、報復として攻撃を受ける可能性も含めて広く論じられるべきです。このような重要な判断を、国民の意思を無視して閣議決定することは、平和主義だけでなく、基本的人権の尊重や国民主権という憲法の三原則を軽視することにもなります。
首相の私的諮問会議である安保法制懇のメンバーには、ほとんど憲法の専門家が入っていません。2003年、大量破壊兵器が存在するという米国の虚偽情報を鵜呑みにし、米国のイラク戦争を支持したメンバーさえ含まれています。このような権力の過ちに歯止めをかけるためにも、多くの憲法学者や有識者の声に耳を傾けるべきです。
戦後日本が獲得した「平和国家」のイメージは、外交上の大切な資産となり、非軍事の国際貢献は歓迎されてきました。また、近隣諸国との信頼関係の礎となり、紛争予防の役割も果たしてきました。日本がとるべき方針は、平和憲法を守ることで近隣諸国、特に東北アジア諸国との信頼関係を深め、武力によらない平和構築に力を注ぎ、平和国家のイメージを崩さないことだと確信しています。
私たちは、集団的自衛権行使容認の閣議決定に、断固反対します。
神戸YWCA
会長 鶴崎祥子