新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の特別定額給付金に関する要望書
内閣総理大臣 安倍晋三様
財務大臣 麻生太郎様
総務大臣 高市早苗様
新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の 特別定額給付金に関する要望書
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止のための緊急事態宣言や各自治体による外出・営業自粛要請を受け、今後いっそう生活に困窮する人が増加することが懸念されます。この対応策として総務省が4月20日に特別定額給付金の概要を発表しました。
私たち日本YWCAは、日本政府によるこの一律10万円の特別定額給付金が、生活困難・生活不安に直面している多くの人びとの現状に応じた緊急的な措置であると受け止めています。しかし一方で、特別定額給付金の対象者が2020年4月27日時点で住民基本台帳に記録されている者であること、世帯主が受取人となり、世帯主名義の銀行口座に振り込まれるなど、いくつかの課題も見えてきました。
日本各地の地域YWCAを拠点として、外国にルーツをもつ子どもたちや、DVを受けている女性たちなど、社会的に弱い立場にある人びとがその尊厳を取り戻し、共に安心して生きられる社会をめざして活動する私たちは、この「特別給付金」が必要な人びとに行き届くことを切に願います。SDGsにある誰も取り残されることのない社会の実現のためにも、困窮する人が取り残されることのないよう、以下を要望します。
一、 日本に居住するすべての人を対象とすること
国籍を問わず、住民基本台帳に記載されているすべての人を給付の対象にする方針ではありますが、外国籍の場合、3か月を超える在留資格などを持ち、住民票を届け出ていることが条件であれば、これを満たさない人びとが、厳しい状況の中に取り残されてしまいます。また、さまざまな事情で住居を失った人も、この給付を受けられるように具体的な仕組みを整備する必要があります。
一、 誰にでもわかる簡易な給付の手続き、多言語による情報発信・申請受付とすること
第一言語が日本語でない人びとに向けて、平易な表現の「やさしい日本語」や多言語による情報発信、多言語による申請受付はもちろんのこと、申請の相談窓口の設置や相談体制の整備も必要です。特に外国人のDV被害者は同郷者コミュニティにアクセスすることが難しく、孤立しがちな状況です。
一、 世帯主へまとめて給付するのではなく、個人を対象とした給付方法をとること
「配偶者からの暴力の被害者に係る証明書」などがあれば、現在の居住地で受け取ることができるようになりましたが、証明書を受けられない状況にあるDV被害者もいます。また虐待から逃れている場合を含め、世帯主との関係性が絶たれている若年者などもいます。給付金の受け取りが困難なこれらの人たちへの特別な配慮も必要です。
一、 口座振り込み以外の給付に関して、広報を徹底し、遅滞なく行うこと
外国人労働者で日本の銀行口座を持っていない人もいます。またDV被害者や被虐待者で加害者の元を離れた人は、マイナンバーカードやマイナンバー通知書、各種身分証、通帳やキャッシュカードを持ち出せていなかったり、銀行口座を持っていないことがありますし、世帯分離をしていなかったり住民票を移していない場合もあります。また加害者が行政職員である場合に、被害者は給付申請をためらう可能性があります。公的機関に限らず民間支援団体による保護が確認された場合に身分証提示等の免除、支援機関による代理申請、口座振込以外の受け取りが遅滞なくできるようにすることが求められます。
2020年4月24日
日本YWCA会長 藤谷佐斗子/釧路YWCA会長 冨安邦子/札幌YWCA会長 髙橋洋子/函館YWCA会長 寺田麗子/弘前YWCA会長 千葉仁子/仙台YWCA会長 木村順子/福島YWCA会長 荒木紀子/東京YWCA運営委員長 島﨑真奈美/横浜YWCA会長 遠藤真理/湘南YWCA会長 加藤和子/平塚YWCA会長 三股まさ子/甲府YWCA会長 平石あつ子/新潟YWCA会長 横山由美子/静岡YWCA会長 芳賀美江/名古屋YWCA運営委員長 永山峰子/京都YWCA会長 弘中奈都子/大阪YWCA会長 小澤裕子/神戸YWCA会長 野村春美/広島YWCA会長 難波郁江/呉YWCA会長 永冨彌古/松山YWCA会長 益田明美/福岡YWCA会長 柴田智子/長崎YWCA会長 桑原百合子/熊本YWCA会長/髙野和佳子 沖縄YWCA会長 糸洲のぶ子
要望書(PDF)は日本YWCAのホームページでお読みいただけます。