日本政府の韓国への対応に関する抗議声明
内閣総理大臣 安倍晋三 様
外務大臣 河野太郎 様
抗議声明
日本政府は7月2日、貿易管理上の優遇措置を受けられる「ホワイト国」のリストから、韓国を除外する政令改正を閣議決定しました。これによって、日韓両国の危機的状況は決定的となりました。日本政府は否定していますが、この問題の背景には、アジア・太平洋戦争中の日本企業による韓国人徴用工問題があり、その「報復的措 置」としてこのような形をとったことは明白です。
アジア・太平洋戦争時をはじめとして、日本が韓国を含む東アジア諸国を侵略、人々の人権を侵害し、多くのかけがえのない生命を奪ってきたことを日本政府は深く顧みなければなりません。そして今、歴史を省みることなく隣国の人々の人権を踏みにじり、軍事基地の拡大と経済制裁によって、隣国を威嚇することが、平和をつくり出す道にはつながらないことを、日本政府は気づかなければなりません。 私たち日本YWCAは、日本政府に対し、真の平和をつくり出すために、真摯な態度で過去の歴史の過ちを認め て謝罪し、対話による外交を行うように求めます。
2019年は、日韓両国に歴史的な意味をもつ「三・一独立運動100周年」の年です。日本による植民地支配、その抑圧に立ち向かった韓国の人々の抵抗運動は、全世界の植民地支配下で苦しむ人々に、平和の実現と人権の回復への希望をもたらしたという重要な意味をもっています。その運動から 100年を経た今年、私たち日本YWCAと韓国YWCAの女性たちは、顔を合わせて語り合い、日本政府が歪曲してしまった歴史を正し、戦争を繰り返すことがないように東アジアの平和構築のために協力し合うことを誓いました。この8月には、韓国や中国YWCAの若い世代のメンバーを招き、広島にて日本の中高生たちと広島の原爆の被害と加害の史実を学ぶプログラ ムを実施します。2020年1月には日本から若いメンバーが韓国を訪問し、平和な社会をめざし、共通の課題について語り合うプログラムが開催されます。
この日韓両国の関係の深刻化は、良心的な両国の市民の交流にも影響が出るほどとなりました。これまで、市民どうしが手をつなぎ、丁寧に誠実に積み重ねてきたものすべてが、覆されようとしています。
日本政府の誤った対応は、日韓両国の関係をさらに危機的な局面へと陥らせることは明白です。この日本政府の動きとは反対に、多くの民間団体が負の歴史を顧みてそれを乗り越える日韓の草の根交流の努力を重ねてきました。日本政府は、これまでの政策の誤りに今こそ目を向け、対話による平和外交の努力をなすべきです。
以上
2019年8月6日
日本YWCA
会 長 藤谷佐斗子
総幹事 尾﨑裕美子
抗議声明(PDF)は日本YWCAのホームページでお読みいただけます。