「上筒井から」Vol.7(Sep. 2000)

☆区役所の窓口から☆ NO.4

(区役所で働く筆者が日々の仕事の中で考えたことを具体的な時柄を中心に報告しています)


<区役所の昼休み窓口を考える>

 区役所に行くと、丁度昼休み。窓口は閉まっている。仕方なく1時になるまで待つ。一体どうして、区役所は昼に窓口を閉めているのか。市民サービスからすれば、開けていて当たり前、相変わらずの市民感覚とはかけ離れた仕事振りと思うのだが。仕方なく窓口の前で待つが、カウンターの中を見ると職員が本を読んだり、将棋をしたり、昼寝をしているのもいる。そんな経験をされた方もいるだろう。

 今、神戸市では昼休みの窓口(昼窓とよんでいる)拡大の提案が当局から組合になされている。これから組合で議論してどうするか当局と交渉していくということなのだが、結論から言うと、近い内に区役所(保健部・福祉部も含む)の昼休み窓口は全係で開くということになるのは確実である。現在は市民課だけで昼窓を開いていて、住民票・印鑑証明・戸籍・外国人登録関係の証明の発行のみ窓口業務をしている。これは、18年前、それまで一切の業務をしていなかったのをすったもんだの議論の結果、市民課の一部に業務限定して昼休みも窓口を開くということになったものである。当時は、組合として「昼休み窓口開設に反対」という態度を決めながら、市会で昼休み窓口問題が問題とされ、結局押し切られて昼休み窓口を限定的に認めるということになったのである。今回は、18年前とは状況は大きく変わって表立った昼窓反対と言う声はほとんどない。職場の雰囲気も昼窓開設やむなしという雰囲気が大勢である。市民サービスと労働条件を対立関係に立たせないと組合は言い、組合の議論はいかに有利な条件を取るかということになっている。ところが、市民サービス向上と言いながら、業務は出来る限り限定しようというのが組合の本音で、それを明言している。市民サービスというなら、通常している業務を12時と1時の間だけしないということはおかしいと思うのだが、そんなことを言うと組合員の支持が得られず、全ての業務をするということは絶対にしないということだろう。

 そもそも、昼休み窓口という言葉自体からして、本来業務をすべきではないが、仕方なくしているという考えが見て読める。12時から1時まで業務をしたからといって職員が昼休みを取れないわけではない。交代で休憩するだけである。業務をしている所で弁当を開けて食べるというわけには行かないから、確かに食事場所や休憩場所の確保ということは必要である。しかし、それと、業務を限定するということとは何の関係もない。それと、現在の昼窓業務でおかしなことがある。戸籍に関する届けの受付(死亡・出生・結婚・離婚など)は24時間受付を行う必要があり、夜間休日窓口もあるのだが、昼休みは現在届出受付業務をしていない。指摘されると弁解の余地はないのだが誰も指摘しないのである。

 「市民サービスと労働条件を対立させない」というと聞こえは良いが、よく考えるとこのスローガンは職員の労働条件のために昼休み窓口をしていない(または業務限定している)ことを証明しているだけであり、業務限定をするということはやはり対立的に考えているということに過ぎないのである。

 市民サービスとは一体どういうことだろうか。単に「昼休み」に窓口を開いたからといって市民サービスが向上したということにはならないだろう。12時から1時まで普通に業務をすることは当たり前のことで、問題はその行政の内容であると思うのである。しかし、そんな声は職場では話題にもされることも少ない。本当に市民の立場に立ち(これも使い古されてしまっている)、市民の役に立っていると実感できる仕事をするということは、それは他のどんな労働条件の改善よりも大事なことで、重要な労働の条件だと思うのだが。

(I.K)


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