「上筒井から」Vol.7(Sep. 2000)
震災復興委員会活動報告
わいわいランチ(給食サービス) - 夜回り準備会 - 仮設居住者実態調査の会
わいわいランチ(給食サービス)
震災から5年半が経ちました。
当初救援活動の中から必要に駆られ始まった”給食サービス”を続けてきました。地域の高齢の方や、傷害を持った方、また、食事作りの困難な方へお弁当を届け、2年前からは毎日型ふれあい型給食を目指して、月曜から金曜の週5日、昼食時に配達しています。活動を継続するため、人材確保、財政確保と多くの課題を抱えつつも、調理する人、運転する人、給食配達する人と相互の連携で成り立っています。
年数回のボランティアミーティングでは、状況報告や問題点など話し合い、情報交換します。そして給食ボランティアマニュアルや利用者データも整ってきました。一方、よりよいサービスができるよう料理の内容、量、その他ご希望にすこしでもそえるよう努力しています。けれども毎日2〜3人のボランティアで平均10食を昼食時に間に合うように届けるため、時間的にゆっくりお話しすることができない現実があります。地域といっても東西南北に広がっており、車での配達となります。車2台で手分けできればお訪ねした先での応対にゆとりができるのにと思うのです。そのためには、車の運転の出来る方、お弁当を詰めてくださるボランティアの協力が必要です。毎週でなくても、月1〜2回でも関わってくださる方が増えますよう願っています。
神戸YWCAでは、福祉部として震災復興委員会と福祉委員会をおいて活動しています。給食サービスだけでなくヘルパーを希望される方もあり、すでに”まごの手”からヘルパーを派遣して喜ばれていることは、うれしい限りです。これからは、益々福祉部としての働きが必要とされ期待されることでしょう。
地域福祉の拠点となるため、地域に根ざした生活支援型を目指して、より充実したサービスができるよう努力していきたいものです。
(大)
わいわいランチ
夜回り準備会(仮称)
Yさんのことなど
「運転できますか?」
えっ?やっぱり。ここにきて、いまごろになって。たそがれ成兵衛、こころの中でのけぞる。
免許、ケイタイ、パソコンは現代三種の神器。そのことはじゅうぶん承知だが、クルマ持たないゴルフやらないをずっと戒律みたいにしてきたのに。排気ガスを撒き散らす。緑をボロボロにすると固く信じて疑わぬ。偏狭のそしりは覚悟のうえとて。車中ケイタイの傍若無人ぶりはつとに珍しくもなく。インターネットに接続できて、日本経済復興のカギさえにぎる存在と、巷間伝えるものの、老眼には画面はあまりにも小さすぎる。あのこんまいボタンを指でそうさするのは、余程器用でないとむつかしい。
なのに、「夜回り」では、免許・ケイタイ持たぬは役立たずのしるしなりとは。
そうと知ってたら、夜回りに手を挙げたりはしなかった。そんないい加減な動機だったのかといわれればゴメンなさいというしか。ほんとのことだから仕方ない。
不快と顔をしかめるかたもおられるやもしれぬが、活動とボランティアは違うというのが私めの理解。後者の意識で参加しようと思ったのだから、腰がひけてると責められるかも。
両者はどこが異なるかといえば、私の場合はどこまでも自分のための行為。贖罪意識みたいなものがないとはいい切れないが、それだけでもない。いずれにしても、それほどたいしたことをしようとしてるのではないのは確かなんですが。
それでも、のっけからのショックにもめげず、免許・ケイタイなしで、どうにかこうにか最後尾で回らしてもらう。
以来十数カ月。あきれるほど進歩も発展もしてない。努力以前の周辺で立ち往生。いまだに。
それにしても、野宿しているひとたちが、あまりにも「普通のひと」なのに驚き。なんでやねん。ちょっとは突っ掛かってきたり、こちらを冷然と無視する人がいないのか。
総じて優しい人たち。対する市民の排除の思想のむごさ。行政の効率の論理のつめたさ。
まともな人間なら一度くらいは、この人生からdropoutしたいと切に願ったことがあるはずと思うのだが。
なにかのはずみで家を失ってしまう。そんな可能性は誰にでもあるのでは。
しかし、思いこみの予想が外れたことは、むしろ嬉しい。これまでと同じbehaviorでいいのだから。はずかしがり屋のAさん。お洒落なYさん。博識のSさん。何でも器用につくってしまうKさん。
一瞬でしかないふれあいのなかに覗くさまざまな人間性。もう少し踏み込みたいなぁと思うも、まだ私には許されないだろう。
病床にあるYさん。治癒はむつかしいと。あの人懐っこいどんぐり眼を見れなくなって久しい。
(義)
夜回り準備会
仮設居住者実態調査の会 被災者生活復興調査の会では・・・
毎月第4土曜日午後2時〜神戸YWCA会館に於いて、「被災者の集い」を開催していますが、4月からは、「今、災害復興公営住宅では…」というテーマで、話し合いが持たれています。ゴミやペット問題、住民の高齢化、自治会の問題など新しいコミュニティ作りに伴って出てくる様々な事柄が話題にのぼりましたが、中でも家賃問題は緊急課題として取り上げられました。
災害復興公営住宅では、入居後5年間は、被災者特別減免措置で家賃が減額されていますが、来年夏から順次措置の期限が切れてゆきます。「被災者の生活再建の現状を通してすれば、制度の打ち切りは、そのまま災害復興公営住宅入居者の生活破壊に直結する」と、参加者が「災害復興公営住宅家賃特別減免制度延長を求める共同署名の会」を呼びかけ、7/22〜8/20まで署名活動を行い、8/21に兵庫県知事、神戸市長宛に1次集約分の署名を届けました。この運動の過程で、被災者で民間住宅にお住まいの方々にも出会いました。民間住宅家賃軽減事業は今年より毎年減額され、再来年で打ち切られることになっています。今後、民間住宅の問題にも取り組んでいくことになりました。
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