神戸から
神戸空港問題の『今』 - 家のない人に対する神戸市の施策 (1)神戸空港問題の『今』
10月29日、神戸市は神戸空港起工式を開催した。会場は、空港予定地に近いポートアイラントのホテルで、1000人を招いてのものであつた。
それに対し、市民団体代表がホテル内で『抗議書』を市職員に手渡し、メンバ一は、会場周辺を建設反対を訴える横断幕を掲げて、テモ行進をした。また、市議会の野党議員団は抗議声明を発表している。
空港建設事業は、すでに9月13日に着工している。既成事実を積み重ねてゆく市のやり方である。
昨年は住民投票条例制定を求める直接請求に35万人が署名し、この夏の、空港建設そのものの賛否を問う自主管理市民投票に、約30万人が反対票を投じた。署名薄も投票用紙も大切に市に届けられたのだが、市民の気持ちは届いていない。2年続きで多数の市民が意思表示したにもかかわらず、住民無視の市の姿勢は変っていないのである。
普通の市民、マスコミ、神戸以外の財界人、専門家などからの疑問、間題点の指摘に、満足な返答はない。疑問に答えないで、空港さえできれば、すべてうまく行くとする広報紙を配られても、到底納得できない。
今年8月に「非常事態宣言」をした深刻な財政危機の中、無駄な公共事業の典型といわれる神戸空港は、見直しが必要である。今、「任民投票運動から新しい神戸を創る会」「神戸空港を考える会」などの市民団体が、市長リーコル運動を準傭中である。阪神大震災の五周年の1月17日に「市長リコール・神戸の会」(仮称)を発足させる予定。運動の目的は「住民合意が得られていない空港建設事業を中止させるため」とする。
神戸市は2005年の開港を目指しているが・・
(影)
家のない人に対する神戸市の施策 (1)
-命にかかわること-
病気で苦しんでいる人を見て、この人の病気がもっと重ければ良いのにと思う人がいたら酷い人です。しかし野宿している人を訪問していると、そう思うことがあるのです。
それは、神戸では(他所でも似ているかもしれませんが)病気が重ければ治療できるが、軽いと治療できないからです。救急車で運ばれるような救急の場合と、入院しなければならない程重症の場合は、神戸市が対応してくれますが、通院程度だと住む家のない人は医者に掛かる方法がないのです。
厳密に言うと、神戸市立更生援護相談所(以下相談所と略)という施設で毎週2回、医師の診察(治療ではない)を受けることはできます。症状が重ければすぐ病院に行けますが、普通は医師が病気らしいと認めると相談所近くの病院で検診(治療ではない)を受けるよう(検診命令)指示されます。病院は検診結果を相談所に連絡し、「入院が必要」なら、生活保護の医療保護で入院治療を受けられます。「治療が必要」と言う診断だと、相談所に泊まれば通院治療はできるのですが、相談所は食事のない無料宿泊施設なのです。特別な場合を除くと、普通、通院生活するのに食事は無いのです。
住む家を失って野宿せざるを得なくなった人は、生きる為に荒ゴミから電気製品や古物を探し、本や雑誌、アルミ缶や銅線等を集めて売ったりします。また、コンビニ等で時間切れの弁当をもらったりもします。 ある人が、ある場所で暮していると言うことは、そこから荒ゴミなどを集めに行ける、それを買ってくれる「寄せ屋さん」に売りに行ける、食べ物が手に入る、水が手に入る、トイレがある等といった=つまりそこで生きられるということを意味します。
六甲山の裏側の仮設住宅からは仕事に行けない、病院に行けない、学校に行けないと訴えた被災者と同じく、暮している場所を離れると言うのは大変なことで、移った先で、生きられる保障が必要なのです。病気の時、治療する為には相談所に泊まらなければならないというのは、冬の路上よりは暖かいとか、検査結果が通知できるとか、一理あるのですが、多くの人から泊まりたくないと聞きます。食事が出ないという他に、泊まったら虫に食われた、職員に馬鹿にされた(人間らしく扱われなかった)、泊まっている人に殴られた、ゆすられた、風呂に入れない等の訴えを聞きます。また、泊まっている間に、元いた場所を他の人に取られてしまうという不都合もあります。今いる場所を離れるには、その後も生きるられる可能性が必要なのです。次回から、神戸の施設など市の野宿者対策を(問題点も)紹介します。
(野)