「上筒井から」Vol.4(Aug. 1999)

ご 挨 拶


 せみの声の季節となりました。皆様におかれましてはご健勝のこととお慶び申しあげます。日頃は神戸YWCA震災復興委員会の活動にご支援いただき誠にありがとうございます。

 委員会が発足して一年が経ちました。目標を「真の復興をめざす」とし、この4月より2年目の活動をはじめております。皆様にご支援いただき、活動が継続できることを大変嬉しく感謝しております。

 この一年間に給食、夜回り、仮設支援等の現場活動から見えてきたことは、たくさんありました。ほとんどの問題は、本当は今までにも存在していたものであることをあらためて感じております。震災を機にやっと表に出てきたという感じでしょうか。昨年特に目立ってきたのは、バブル後の長引く不況の中で多くの企業がリストラという名のもと社員の削減等を行い雇用が保証されなくなり、多くの失業者、そして路上生活者を生み出したことでした。また、これもまた日本全体のこととは思いますが、高齢者問題もどんどん進行しています。復興住宅には入れたけれども寂しくて仕方ないという高齢者の声も絶えません。このような状況の中で私たちの活動は、もう震災復興というものではなくなっているのかもしれません。けれども、震災の後の社会的弱者と呼ばれる人たちをほとんどまったく気にかけない復興計画、30万人以上にのぼる住民の声を無視した空港建設計画等が着々と進んでいるなかで、神戸は復興したとは言えませんし、言ってはならないと考えております。私たちの目指す復興はまだまだ成されていない、そういう思いから「震災復興」と言う言葉を残し活動を続けております。

 この「上筒井から」では、なかなか報道されることのない神戸の現状をお伝えできればと思い発行させていただいております。皆様の貴重なご意見ご指導を糧として活動していく所存でございます。今後ともご支援、ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

 時節柄ご自愛のほどお祈り申しあげます。


神戸YWCA震災復興委員会 委員長 影山 / 万年


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