「上筒井から」Vol.12(March 2002)

あの惨状から7年目を迎えて,思う事

被災者生活再建法見直しを求める会


 たしかに町並、家並は、とてもきれいになったと思われる。あの大地震の被害を受けた誰もが、こんなみじめな姿は誰れにもみせたくない、早く忘れてしまいたいし、早く立直りたいと思った事でしょう。

 ところが、年月が経つにつれ、生活は苦しくなり、おまけに年を重ねて、やり直したいと云う意欲もなければ、その場もない、そして、世間は不況の波が押し寄せ、リストラの嵐が吹いてくる。

 当初は何とかなるだろうと考えていた事も、夢の又夢、取りくずした貯金も底をつき、不安がつのるばかりである。町には野宿者がふえ、自殺者も後を絶たない昨今である。

 先日首相の施政演説に「人をいたわり、安全で安心にくらせる社会において、災害による被災者の支援」云々とありましたが、他国は助けるが、戦後未曾有の阪神・淡路大震災の被災者に対して、細やかな救済を、国はしてくれたのでしょうか。

 過日満員電車の車窓から見える綺麗になった家並を見ていた旅行者のグループが「この辺は綺麗な家ばかりでいい所やね」と云っているのを聞いて私は思わず「この辺はあの地震でたくさんの家がつぶれ皆建替えられた所ですよ、あの高層住宅やスーパーも、駅前開発できれいになったのです」と説明しましたら、皆さんの表情は何んとも云えぬものでした。当事者が、早く忘れたい、早く忘れたい、思い出したくもないと云い乍ら、説明せざるを得なかったりは、一体何故なのだろうか。他の人にはわかってもらえない惨状はやはり、語りついで行かなければならないと思います。今後もおこり得るであろう災害に対する皆の自覚や、行政の姿勢、補償等、少人数の人しか救えない被災者生活再建支援法の見直しについて、被害者がしっかりと訴えて行かなければならないと痛感しています。

 今又1月末付の新聞で、自民党が「住宅再建支援法」なる法案の提出を、今国会にする様に云っていますが、では生活再建支援法は、どうなるのでせうか。借家にいたものも、家を失くし、一家団らんの場を失くした事については、その生活の程度は、千差万別である事はいなめないとしても、そんな被災者こそが、孤独死に追いやられ、苦しんでいると云う事を、声を大にして訴えたいと思います。

 その後も災害が起こっていますが、エゴかも知れないが私は、あくまで、阪神・淡路大震災被災者生活再建支援法の見直しと拡充を求める会の一員として、この法案のすみやかな見直しと拡充を求め今後も政府に対して訴え続けて行く所存です。



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