「追い出しは違法です」
これは、野宿している人に渡しておくビラです。追い立てに来た人に、読んでもらって、追い出しは違法だということを理解してもらうためのビラです。記入欄に記入して欲しいと言って相手が記入しない場合は、公務員でないかもしれない。いたずらで、出て行けという人はこれを見ると記入しないで帰っていくこともあります。
公務員の皆さん!! 追い出しは違法です
ご承知のように、公務員は法を守る義務があります。
「天皇または摂政および国務大臣,国会議員,裁判官その他の公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」憲法99条
その憲法には「日本国が締結した条約および確立された国際法規は,これを誠実に遵守することを必
要とする。」とあります。憲法98条(1)
日本は国際人権規約:経済的・社会的および文化的権利に関する国際規約という条約を締結しています。
その11条に「この規約の締約国は、自己およびその家族のための適切な食料、衣類、および住居を含む適切な生活水準についての全てのものの権利を認める」とあり、社会権委員会はこの規約が正しく解釈されるために、一般的意見を公表しています。
一般的意見4には「適切な住居」とは何か、詳しく書いてあり、中でも「住みつづける権利」=「追い出されない権利」が重視されています。
また、1993年3月10日、国連人権委員会は「強制追い立てに関する決議」を日本を含む53カ国の代表によって満場一致で採択しました。
これは、住んでいる人の合法性に関係なく、つまり権利がない占有者、テント生活している人、路上生活する人にも適用されます。
1997年には 一般的意見7が採択されました。
いずれの一般的意見も決議も「全ての人々が、強制立ち退き、嫌がらせ、その他の脅しに対して、法的保護を保障されるべきだ」という見解を示し、追い立てに厳しく反対しています。
強制と言うのは「ブルドーザーで家を壊すような物理的な強制」、だけでなく、嫌がらせや、その他のおどしも含んでいることに注意してください。警察も市の土地に関しては、市の依頼がなければ追い立てることはできませんし、手続きが必要です。
私たちはこれまでに、神戸市と以下のような話し合いをしてきました。
1 一方的に追い出したり、生活に必要な物資を撤去したりしない。基本的に追い
たてはしない。
2 野宿している者の人権、生きる権利、人間の尊厳を大切にし、差別をしない。
3 やむを得ず、移動を求める必要がある場合は、以下の手続きをとること。
ア 移動を求める理由を本人に説明すること。
イ これは,追い出しではなく、移動を求めることだから、次に住むところを用意し、本人が理解し納得した上で、本人が移動すること。(本人が希望すれば手伝っても良い)
ウ 生活用品は本人が納得しなければ、撤去や廃棄はできない。
エ 移動をする必要性を本人が納得できるために、少なくとも一ヶ月前までに(市は2週間前といっている)、文書と口頭で、移動して欲しいことを伝え、説明すること。文書は判りやすいところに張ること。
オ 文書の内容は
(1)移動を求める理由 (2)移動先 (3)移動の期限
(4)文書を張った日付 (5)部署と責任者名と担当者名 (6)連絡先
カ 保健福祉局などと連携して、本人の状態に応じて、移動先や医療、生活保護や仕事などについてきめ細かく対応できる体制を整えて相談に応じること。